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サーボモーターとは?原理・構造・種類・応用分野を紹介します。

サーボモーターとは?原理・構造・種類・応用分野を紹介します。
現代の工業および自動化産業において、機械設備にはより高精度な制御と高効率な運転が求められています。そのなかでも、サーボモーターと遊星ギア減速機の組み合わせは、安定かつ高効率な動力伝達を実現する有効な手段です。サーボモーターは指令に基づいて正確に動作を制御でき、各種精密機械に幅広く利用されています。本記事では、サーボモーターの基本原理、種類、および応用分野について詳しくご紹介し、この重要な技術に対する理解を深めていただきたいと思います。
 

サーボモーターとは

サーボモーター(英:Servo Motor)とは、制御信号に応じて正確に速度・位置・トルクを制御できる高応答型の電動モーターです。主に、モーター本体、制御ユニット(サーボドライバー)、およびフィードバック装置(エンコーダやレゾルバ)で構成され、フィードバック機構により動作状態を常に調整し、高精度かつ安定した機械運転を実現します。産業用自動化、電子機器、航空宇宙技術などの分野で幅広く活用されています。
〈続きを読む:モーターの選択の基本: ACモーターとDCモーターの種類
 

サーボモーターの動作原理

サーボモーターは、一般的なACモーターと同様に、交流電力の入力によって磁場を発生させ、回転子を駆動します。コントローラーから指令が送信されると、ドライバー(駆動装置)が電流出力を調整してモーターを駆動します。同時に、エンコーダは現在の位置や回転数をフィードバックし、そのデータをコントローラーに送信して比較・調整を行います、これにより、モーターは指令通りの速度と位置で正確に動作することができます。このようなリアルタイムのフィードバック機構により、サーボモーターは迅速な応答と高い安定性を実現しています。
〈続きを読む:誘導モーターはどのような仕組みで動くのか?種類と使用例は?

サーボモーターの構造

サーボモーターは以下の主要部品で構成されています:
  • モーター本体:動力を出力する、通常はブラシレスDCモーターまたはACモーターが採用されます。
  • エンコーダ:モーターの動作状態を監視し、回転速度や位置などを制御装置へフィードバック信号を送ります。
  • サーボドライバー:エンコーダーからの信号を処理し、モーターの動作状態を調整して、正確な制御を確保します。
  • ドライバー:モーターと制御システムの間に位置し、コントロール信号を受け取り、フィードバックに基づいて電圧や電流の出力を調整し、モーターの駆動を制御します。
 

サーボモーターの種類

サーボモーターは、電源の種類および動作特性に応じて以下のように分類されます。それぞれのタイプには独自の特性があり、特定の用途や要求に応じて最適な動作効率と制御性能を提供します。

1. DCサーボモーター(直流サーボモーター)

DCサーボモーターはDC電源を用い、主に角度エンコーダやタコジェネレーターによってモーターの回転速度やトルクなどの物理量を検出し、ドライバーがフィードバック信号を演算処理することで、出力特性を制御します。 DCサーボモーターは高精度かつ高速応答の特長を持ち、電子機器、ロボット、ドローン、AGV(無人搬送車)、AMR(自律移動ロボット)、医療機器など、精密な動作制御が求められる分野に広く使用されていま。

2. ACサーボモーター(交流サーボモーター)

ACサーボモーターは交流電源で駆動され、電圧や周波数を制御することで多様な制御方式が可能です。その動作速度や位置制御において非常に高い精度と正確さを持ちます。ACサーボモーターは用途が広く、現在の工業自動化や高精度制御の分野で最も一般的かつ主流のサーボモーターの一つです。ロボット、NC工作機械、その他の精度と可変性が求められるアプリケーションに使用されます。耐久性が高く、メンテナンスコストも低いことが特長です。動作は滑らかでトルクが大きく、産業用オートメーションやCNC工作機械などの高出力アプリケーションに適しています。

3. リニアサーボモーター(直線サーボモーター)

リニアサーボモーターは、回転運動を介さず、直接的に直線運動を生み出すサーボ駆動装置です。その結果、高速な位置決めが容易で、移動距離にも制限がなく、高速かつ高精度な直線運動制御が可能です。半導体製造装置、レーザー切断機、CNC加工機における高速位置決めステージ、医療用自動検査・実験装置などに適しています。

比較表:サーボモーターの種類
分類項目 DCサーボモーター ACサーボモーター リニアサーボモーター
動作タイプ 回転運動 回転運動 直線運動
制御方式 電圧制御+フィードバック 電圧・電流制御+高精度エンコーダ 直接駆動+高精度フィードバック制御
動的性能 起動が速く制御が簡易 広範囲な速度域で高出力安定 非接触・高応答・無限ストローク可能
応答速度 比較的速い 高速かつ安定 極めて高速、精密な制御が可能
主な用途 小型装置、AGV、電子機器 産業ロボット、CNC工作機、搬送装置 半導体装置、レーザー加工、精密ステージ
 

サーボモーターの主な利点

1. 高精度制御

サーボモーターの最大の利点の一つは、その優れた高精度制御能力です。高分解能エンコーダーを搭載することで、サーボシステムはローターの実際の位置と速度をリアルタイムでフィードバックし、クローズドループ制御(Closed-loop)を実現します。これにより、モーターは目標位置に正確に到達するだけでなく、微小な誤差も継続的に補正することができ、ミクロン単位の位置決め精度を達成します。このような制御特性は、CNC工作機械、自動組立ライン、ロボットアームなど、位置および速度の精度が非常に高く求められる用途に非常に適しています。

2. 高速ダイナミックレスポンス

サーボモーターは、非常に高速な動的応答性能を備えており、極めて短時間で加減速動作を完了することができます。これは、モーター内部の慣性が小さく、制御帯域幅が広いためであり、デジタルドライバとの組み合わせにより、ミリ秒単位の応答時間を実現可能にしています。負荷変動や高速動作の状況でも、迅速かつ安定した動作性能を維持できるため、生産サイクルやモーションコントロールの効率を確保できます。この特性により、ラベリング、包装、精密搬送など、テンポが重要な自動化装置への応用に特に適しています。

3. 高い安定性

サーボモーターはクローズドループ制御機構により、さまざまな作業条件下でも自動的に偏差を修正し、負荷の変動を補償することで、システムを安定して運転させることができます。負荷が変化しても回転速度のドリフトや振動が発生することはありません。さらに、最新のサーボドライバにはゲイン自動調整や振動抑制制御などの多様な保護・調整機能が内蔵されており、振動や共振を効果的に抑えることで、全体の運転安定性を向上させます。長時間の連続稼働、高負荷、高精度が求められる産業用途にとって、非常に理想的な選択肢です。

4. 高効率設計

サーボモーターは、従来のモーターと比較して効率面で優れており、エネルギー消費の大幅な削減が可能です。その鍵となるのは、サーボシステムが一般的にクローズドループ制御を採用しており、実際の負荷に応じて出力を調整できる点にあります。これにより、不要なエネルギーの浪費を防ぐことができます。負荷が軽い場合や停止状態にある際には、サーボモーターの電流消費は大幅に低下します。さらに、サーボモーターは軽量化や内部摩擦の低減にも配慮した設計がなされており、エネルギー変換効率の向上に寄与しています。これらの特性により、サーボモーターは自動化生産ライン、ロボットアーム、温度制御システムなどの長時間・連続運転が求められる用途において、エネルギーコストを効果的に削減し、省エネルギー・環境配慮のニーズにも応えることができます。

5. 低騒音運転

サーボモーターは設計上、高いエネルギー効率を備えており、特に永久磁石同期型(PMSM)モーターは、広い回転速度範囲にわたって高効率で運転することが可能です。そのエネルギー変換効率は通常85%~95%に達し、エネルギー損失を大幅に削減します。さらに、サーボモーターは精密な制御が可能なため、無駄な動作や機械的な摩耗を防ぎ、システム全体の運転効率を向上させます。これにより、大規模な自動化工場や電動車両など、エネルギーコストに敏感な産業において、顕著な省エネルギー効果と経済的メリットをもたらします。

サーボモーターの主な応用分野

サーボモーターは、高精度・高効率・優れた動的応答性を備えていることから、産業用オートメーション、電子、航空宇宙、医療、物流など幅広い分野で広く利用されています。現代のスマート機器における中核的な駆動技術の一つです。

産業機械・自動化設備

産業オートメーション分野において、サーボモーターはCNC工作機械、自動化生産ライン、ロボットアームなどの装置で広く使用され、精密な位置決めと高速な動作を実現しています。出力トルクと制御精度を向上させるため、サーボモーターはしばしば遊星ギア減速機と組み合わせて使用されます。減速機はギア機構によってモーターの回転速度を低下させ、出力トルクを増大させるもので、コンパクトな構造、高い伝達効率、低バックラッシといった特長を備えています。これによりサーボモーターの出力力を増強し、負荷の安定性を改善できるため、高負荷かつ高精度な用途において不可欠な駆動コンポーネントとなっています。

半導体・電子製造装置

サーボモーターは半導体および電子製造工程において、ウェーハ搬送、フォトマスクアライメント、ICパッケージング、SMT実装などの高精度工程に広く用いられています。これらの用途では位置、速度、振動制御の要求が非常に高いため、サーボモーターの高解像度フィードバックとリアルタイム補正能力が、装置のマイクロメートル単位での安定稼働を効果的に支えています。これにより、高速かつ高密度な電子製造の実現に欠かせない駆動システムとなっています。

航空宇宙技術

航空宇宙システムにおける姿勢制御、着陸装置の収納・展開、レーダー回転プラットフォームなどの重要部品には、サーボモーターが多く使用されています。高い信頼性、精密な制御、および耐振動性により、飛行中の重要コンポーネントの安定した動作を確保します。特にドローン、衛星の姿勢制御モジュール、宇宙用ロボットアームなどの用途では、過酷な環境下でも正確な動作を維持する必要があり、サーボモーターは航空宇宙制御に不可欠な駆動コアとなっています。

医療機器

医療機器において、サーボモーターは手術用ロボットアーム、電動ベッド、検査台、X線およびMRIの定位装置などのシステムに広く使用されています。低騒音、安定した動作、高精度な位置決め特性により、医療作業の快適性と正確性の向上に貢献しています。サーボシステムは、低侵襲手術や遠隔操作の医療機器にも適しており、現代医療が求める安全性と精密な制御の両立を実現しています。

物流・搬送システム

サーボモーターは、AGV無人搬送車、AMR自律移動ロボット、自動スタッカー、仕分けシステム、コンベヤーシステムなど、スマート物流機器に広く応用されています。サーボ駆動により正確な速度と方向制御が可能となり、車両は倉庫内を安定して走行し、正確に停車することができます。エンコーダーやナビゲーションモジュールと組み合わせることで、自律障害物回避や経路最適化などの高度な機能を実現し、物流の効率化と作業の自動化を大幅に向上させます。

その他応用例

前述の主流分野に加え、サーボモーターは多くの高度技術分野や日常の自動化機器にも広く応用されています。例えば、カメラのジンバルやオートフォーカスシステムでは、サーボモーターが極めて滑らかな微調整を実現します。スマート家電の電動カーテンやコーヒーメーカーでは、静音かつ安定した動作を提供します。さらには、機械劇場、ゲーム機器、シミュレーターなどの娯楽施設においても、サーボモーターは精密な制御役を担っています。スマート技術の普及に伴い、サーボシステムは今後ますます多くの民生用途や異分野の革新的な応用へと浸透していくでしょう。
 

サーボモーター選定時のポイント

サーボモーターを選定する際には、アプリケーションの要件に応じて複数の重要な要素を評価する必要があります。これにより、システム性能の最適化と装置寿命の延長が可能になります。以下は主な検討ポイントです:
  1. 負荷特性とトルク要件
    駆動する負荷の種類(慣性負荷、リニア負荷、変動負荷など)を明確にし、最大トルクおよび連続トルクの要求を計算します。それに基づき、適切な出力と減速機の組み合わせを選定します。
  2. 運動軌跡と速度要件
    モーターが必要な速度範囲および加減速特性を満たしているかを確認します。CNC加工機やロボットの関節などの精密なアプリケーションに対しては、高い動的応答性を持つサーボモーターを選定する必要があります。
  3. 制御要件とフィードバックシステム
    アプリケーションの要求に応じて、位置制御・速度制御・トルク制御のいずれかのモードを選定します。エンコーダの分解能は制御精度に影響するため、必要に応じて適切なフィードバックデバイスを選ぶことが重要です。
  4. 作業環境への適応性
    高温・高湿・粉塵の多い環境で使用する場合は、防塵・防水等級(例:IP65)を考慮する必要があります。医療機器や精密分野での使用には、低騒音・低振動といった特性も重要な選定基準となります。
  5. ブランドとアフターサービス
    信頼性の高い評判と技術サポートを備えたブランドを選定することが重要です。サプライヤーが十分な技術サポート、修理対応、ソフトウェアのアップデートサービスを提供しているかを確認してください。
上記の要素を総合的に検討することで、サーボモーターが特定の用途において最適な性能を発揮し、信頼性を高めることが可能になります。
 

世協電機 — 減速機および専門モーターの製造メーカー

サーボモーターとアプリケーション側をつなぐ主要な伝達構成部品として、遊星減速機は動力を伝達する際に、最大限の効率と最小限のバックラッシを確保しなければなりません。不要な騒音や発熱によるシステム温度への影響は許容されず、さらに低温・腐食・高温高圧洗浄といった過酷な作業環境にも対応する必要があります。この限られたスペース内で、巧みな設計によってこれらの要求を満たすことは、すべての遊星減速機メーカーにとって継続的な挑戦となっています。世協電機の高品質・高性能な遊星減速機は、多様な機種設計と性能仕様の選択肢を提供しており、各社のサーボモーターに対応した接続プレートを備え、直接取り付けて使用可能です。適用範囲は広く、顧客に最適な動力伝達ソリューションを提供します。高精度なギア設計と加工により、優れた精度と耐摩耗性を実現し、一体型の遊星ギアキャリアと出力軸を組み合わせることで、より高いラジアル荷重、長寿命、最小バックラッシを実現しています。
 

まとめ: 

現代の工業および自動化産業において、機械設備の精密な制御と高効率な稼働に対する要求はますます高まっています。サーボモーターはこれらの目標を実現するための重要な要素です。負荷特性、制御要件、環境条件、ブランドのサービスなどの多角的な検討を通じて、実際の用途で最大の性能を発揮できるサーボシステムの選定が可能となります。特に、サーボモーターと遊星減速機の組み合わせは、動力伝達の安定性と出力トルクの向上に理想的なソリューションであり、高精度・高負荷の各種機器に最適です。この組み合わせにより、高速応答と高効率を実現するとともに、長時間にわたる信頼性の高い運動制御を可能にし、スマートマニュファクチャリングや精密機械用途に強力な動力と持続的な競争力を提供します。サーボモーターと遊星減速機の組み合わせについてご質問やご要望がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせいただくか、オンラインの「お問い合わせフォーム」よりご連絡ください。